富士山周辺の鳥たち(4)


2015年6月
・ウグイスとキセキレイは森林限界にも生息

'15.6.29

先月末に標高900m〜1000mの須山口登山道に、今月初めには標高1600m〜1700mの富士山自然休養林に、そして今回は更に上の富士宮口五合目に行きました。
歩いたところは標高は約2400m〜2500mで、ちょうど森林限界の上下にあたります。五合目宝永入口から宝永第二火口縁まではダケカンバやカラマツなどの混交林、そこから100m近く上った宝永第一火口縁から新六合目まではちょうど森林限界にあたり低標高側はカラマツの低木、高標高側は岩稜になっています。
そこで姿を見たり声を聞いた鳥たちは
林:ルリビタキ(雄はとうとう見られず)、ホシガラス、キクイタダキ、コガラ、ミソサザイ、メボソムシクイ、ビンズイ
森林限界:ビンズイ、カヤクグリ、キセキレイ、ウグイス(声のみ)、アマツバメ(さらに標高の高いところを飛んでいた)/ウソやイワヒバリが見られなかったのは残念
です。
キセキレイとウグイスが森林限界に生息しているのには驚きました。ウグイスは以前に白駒池付近(標高2100m)にもいて驚きましたが、ここはさらに高いところです。
また、林ではあちらこちらでルリビタキとメボソムシクイの囀りを聞くことができました。エゾハルゼミの賑やかな声に邪魔されることがありませんでしたが、いないのは季節のせいでしょうか、標高のせいでしょうか?




・ウグイスとキセキレイは森林限界にも生息





五合目宝永入口から歩きはじめたところ、ダケカンバ
この道も「富士山自然休養林歩道」の表示がありました












すぐ近くをちょろちょろする鳥、何か分からず撮影しました
ルリビタキの地鳴きと同じ声で鳴いています












首をかしげたのはシャッター音のため?













尻尾などが青みがかっています
ルリビタキの巣立ち雛ですね












しばらく行くと、小さな鳥の群れが枝を飛び交う向こうで大きな鳥が動いています
初めて見るホシガラスです












盛んに平べったい木の実のようなものを食べています













また、木の実を見つけた模様













飛び交っていた小さな鳥
やっとファインダーでとらえることができました












キクイタダキですね
2年半前には冬鳥として井の頭公園などでよく見られましたが、夏に見たのは初めてです












群れはキクイタダキとコガラの混群でした













コガラは虫をくわえており、子育て中のようです













コガラはかなり長い間ここで飛び回っていましたが、いつの間にか見えなくなりました













さらに行き林が明るくなってきたら、日沢のガレ場です













すぐ前の木にミソサザイがやってきました













こちらに向かって飛び出し、さらに近い岩にとまりましたが
「邪魔な人間」に気付きすぐにUターン












谷になっているガレ場に張り出した枯れ木にきて、また、大きな声で鳴いています













メボソムシクイ













撮影できたのは昨年のメルヘン街道以来です













珍しくこんなところに出てきました













ルリビタキ♀













霧がひどくなってきました
ビンズイが鳴いています












日沢のガレ場は霧で見えなくなっています













ガレ場を渡るとルリビタキの雌がヒッヒッヒと鳴いています













この近くでも営巣しているようです
近くではいろいろな方向から雄のルリビタキの囀りが聞こえますが、姿は見えません












しばらく針葉樹林が続き













林が切れると、宝永第二火口縁です













第二火口内に少し下ったところに生えるカラマツの低木でビンズイが囀っています













黄色い鳥!













火口下へ飛んで行った
まさかキセキレイ?












かなり下の枯れ木にとまりました、キセキレイですね
森林限界にいるとは思いませんでした












宝永第二火口縁から第一火口を望む、左上は山頂
五合目宝永入口から第二火口縁までは緩やかな登りでしたが、
そこから第一火口縁までは距離はないものの急な登り坂です
右は第二火口、左はカラマツの低木林で両側の鳥を探しながらゆっくり登るも
スコリアに足を取られ、とても一気に登り切れません
カラマツの林縁に座り込んで一休みです
(年相応かもしれませんがちょっと情けない思い)







カラマツボックリ













休憩を終わり、立ち上がると目の前5mほどのところに虫をくわえたカヤクグリがいるではありませんか













そのままシャッターを切っていてもこちらを気にする様子はありません
しばらくして餌を巣に運んだのかカラマツの向こう側に見えなくなりました












ここにもビンズイがいます













飛びながら鳴いているようですね













カラマツに下りてくるともう一羽います
ツガイだったのでしょうか?












坂を登りきると第一火口分岐、右に行くと宝永山へ、左に行くと新六号小屋への歩きやすい道になります
この道は文字通りの森林限界で道の左側はカラマツの低木林、右側は岩稜です
カラマツ林ではウソが繁殖するらしいですが、この天候では探せません
手前の花はオンタデ?










霧が晴れると山頂まで続く砂礫が見渡せます
残念ながらイワヒバリを見つけることはできませんでした




この先で昼食
帰りは六合目山荘経由五合目に行くのが近いのですが、時間も早いので元の道を戻ることにしました







フジハタザオというらしいです













白い花はコケモモ
ピンクの蕾はわかりません・・・ベニバナイチヤソウ??












第一火口分岐近く、中央が第一火口、右上が宝永山、右下が第二火口
昼食時に会った元気な小学生たちが宝永山に向かう道にいます












上の写真の左手前の岩にビンズイがいます













反対側ではカヤクグリが鳴いていますが、声は良く聞こえません













フジハタザオに2匹のチョウ、何というチョウでしょうか













急坂から南を見ると、一面の雲海です
いままで雲で何も見えませんでした












その西側、ほぼ真南
雲海の下は、伊豆半島や相模湾のはずです
水平線が湾曲しているのはレンズの歪曲によるものではありません











更に西側
Nikon1V1で撮りました、焦点距離は35mm換算27mmですが、もっと広角レンズがほしかった
雲海が見えたのはほんの10分足らずで、その後はまた雲に覆われました

20年以上前ストックホルムからロンドンに向かう機上から見て以来、ちょっと感動しました









第二火口のカラマツにはまたビンズイがいます
虫も多く、子育てができるはずですね












林に入ってくるとルリビタキ
雄は相変わらずあちこちで囀っています












メボソムシクイの囀りもところどころで聞こえます
これは子供でしょうか?どこかそんな風に見えます












霧はだんだんひどくなり、もう濃霧です













村山古道が交差しています
ここでもルリビタキの囀りがよく聞こえますが、姿は見えません



五合目宝永入口に戻ってきても濃霧は晴れる気配もなく、帰路につきました



・・・・・・・・・・





スカイラインを下り、今月初めに行った高鉢駐車場に寄ってみると
同じシナニキ(科の木)にオオルリがいます
きっと同じオオルリだと思います











スカイラインを挟んで反対側の森に入るとキビタキ
これまた前回と同じキビタキかもしれません












高鉢駐車場のシナノキ
オオルリはこのてっぺんで鳴いています


この後はスカイラインを下るほど霧はさらに深くなり視界は20m前後、ノロノロ運転でもちょっと怖い思いをしました


・・・・・・・・・・



今回は富士山五合目から六合目を距離にして1kmほどの短い距離を往復しただけですが、
・ルリビタキの巣立ち雛、ホシガラス、夏のキクイタダキをはじめて見、
・森林限界にウグイスやキセキレイがいることを知り、
・久しぶりに雲海を見る
ことができました。

約一カ月の間に標高の違う富士山南麓3カ所の鳥たちを観察したのでまとめてみると
場所 標高(m) 時期 観察種(含む声のみ) 備考
須山口登山道
(十里木)
900-1000 5/22 ホオジロ、ホトトギス、キビタキ、コルリ、センダイムシクイ、モズ、カケス モズ、ホオジロ以外撮影できず
富士山自然休養林
(高鉢山)
1600-1700 6/4 オオルリ、キビタキ、カケス、アカゲラ、ルリビタキ、コガラ、コルリ、コマドリ、ミソサザイ、メボソムシクイ オオルリ、キビタキがこのような高地にもいましたエゾハルゼミが賑やか
富士宮口登山道
五合目
2400-2500 6/29 ルリビタキ、ホシガラス、キクイタダキ、コガラ、ミソサザイ、メボソムシクイ、ビンズイ、カヤクグリ、キセキレイ、ウグイス、アマツバメ ウグイス、キセキレイは森林限界にもいました
のようになります。






更新記録 (富士山:山梨県、静岡県)
2015.7.5 「ウグイスとキセキレイは森林限界にも生息」を作成しました  Nikon D7100 / 300mm F2.8 + 1.7x


このページの最初に戻る


Copyright © 2015 sokamoto
2015.7.5