富士山周辺の鳥たち(9)
2017年9月
・鷹の渡りは見られず−ノビタキ、ホオアカ
・鷹柱−多くの鷹が渡って行きました |
'17.9.13
2年ぶりに冨士山南麓、越前岳の登山道途中にある展望台(というにはあまりにもこじんまりしています)に鷹の渡りを見に行きました。
着くなり一羽が西の空へ向かって飛んでいきました。後で写真を見るとノスリのようですが、渡って行ったのかどうかはよくわかりません。その後、遠くで2羽の鷹(トビとノスリ)が空中で長い間もみ合いを演じてはいましたが、結局サシバなどの渡りは見られませんでした。
多くいたのはツバメとアマツバメであり、そして思いもかけず目の前をアオバトが飛んでいく姿を見ました。
下の原っぱには数羽のノビタキとホオアカなどがいました。 |
・鷹の渡りは見られず−ノビタキ、ホオアカ

現地到着直後、下の原から見上げると一羽が西の空へ
運よく渡りが見られたと思いましたが、数時間滞在中この一羽だけでした
後で写真を見るとそれはノスリでした

小さな原っぱを行くと、ノビタキです

ノビタキ

ノビタキ

展望台へ上る途中、トビです
トビはこんな羽模様をしていたんですね
いつもはほとんど下面しか見ていませんが、ここではトビは眼下を飛ぶこともあり上面の模様がよくわかります

だんだん近くに上ってきました

とうとうすぐ上へ

明らかにこちらを見ています

遠く南アルプス

その方向で、2羽の猛禽類が飛んでいます

一羽はトビですね

もう一羽はノスリですね
翼下面にトビは白斑、ノスリは黒斑が見えます

2羽は3分くらいもみ合いを続けていましたが、その後気付くと2羽とも見えなくなっていました

アマツバメ
ツバメも高速で上空を飛び交っています

あ、これは蝶でした

到着直後に見えた富士山頂はその後はずっと雲の中
見えているのは3合目くらいまでです

東側には真夏を感じさせる入道雲
その下は黒く、かなり高さがありそうです
富士山頂方向以外は雲は多いものの晴れ上がる時間帯も多いのに、山頂だけどうして?
お昼を過ぎてさらに雲が多くなったので引き上げることにしました
鷹の渡りが見られなかったのはちょっと雲が多すぎる天候のせいだったのかもしれません

下に降りてくると今度はホオアカです

ホオアカでしょうか、アオジ♀でしょうか

一面に広がるススキ、開花前です

広場の水飲み場、ノビタキがやってきました
下の水たまりに水浴びにやってくるかと待ちましたが、ススキの中に入ったまま出てきませんでした

ススキの中のノビタキ
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'17.9.25
鷹の渡りを見るために、先週は狭山湖の西の六道山公園へ、先々週は今回と同じ場所へ行きましたが、何れでも見られず残念な思いをしました。しかし今回は幸運に恵まれました。
11時から13時の間に6回に分かれて合計約60羽が渡って行き、その種類はノスリ、サシバ、ハチクマ、そして種別不明の小さめの鷹です。
特に、初めて見るハチクマ、そして30羽ほどの群れが上昇気流をとらえて弧を描きながら舞う鷹柱を、その後西に向かって滑翔しながら消えていく渡りの様子を見ることができました。
なお、渡りの状況は以下の通りです。
@11:01−09 3羽、ノスリ、ハチクマ、不明 鷹柱のあと一羽ずつ西の空へ、3羽目は北へ
A11:47−48 2羽、サシバ 滑翔、あっという間に西の空へ
B11:56−59 6羽、サシバ? 滑翔、あっという間に西の空へ
C12:10−14 約30羽 大きさから少なくとも3種類、鷹柱のあと西の空へ
D12:49−51 約15羽 サシバ他 鷹柱のあと西の空へ
E13:33 1羽、 不明 |
・鷹柱−多くの鷹が渡って行きました

今回もススキの原にホオアカがいます

電波塔の右にある展望台に登る途中、展望台の南東側にはもくもくと成長する積乱雲

展望台に来ました
北側正面に見えるはずの富士山は前回同様全く見えせん
鷹が来るはずの東側や展望台上空はこれほどの雲はありません

今回は鷹の渡りが見られるかと待つこと1時間
@11:01、やってくると考えていた東の空ではなく、西の空に一羽見えました

ノスリです

一羽だけと思っていましたが、3羽います

上昇気流があるのでしょうか、3羽は弧を描いてどんどん小さくなっていきます

そのうちの2羽
左がノスリ、右は初めて見るハチクマです

ハチクマ
「ピュー」「ピュー」(「ピョー」「ピョー」)という澄んだ鳴き声が聞こえます
調べてみるとノスリともサシバとも違い、ハチクマの鳴き声です

ハチクマ(右)特有の首の長さわかります

まだ旋回しています
そのうちに意を決したのか一羽が西の空へ、しばらくしてもう一羽が西の空へ飛んでいきました
ところが最後に残った一羽は北の富士山の方へ飛んでいき(おい、方向か違うんじゃないの?)見えなくなりました
この一羽の種類はよくわかりませんでしたが、その後西へ飛び去ったのではないかと思います
この間約10分です
・・・・・・・・・・

A40分後、東の空に現れた2羽は滑翔を続け、あっという間に西の空へ消えていきました
サシバではないでしょうか
・・・・・・・・・・

B10分後、東の空に見えた6羽が頭の後ろを西へ滑翔、すぐに見えなくなりました

Cさらに10分後の12:10、東の空に10羽くらいが飛んできます

ここにも上昇気流があったらしく舞い始めました
10羽どころではありません

これでも一部で全体では30羽くらいいます(ズームを広角端(f=200mm)にしても全体は写りませんでした)
初めて見る鷹柱、みな勝手な方向を向いて舞っています
(最初の3羽もちょっと寂しい鷹柱でしたが)

中央部分をよく見ると、大きいもの、小さいものといろいろです
サシバやノスリのほかにツミも混じっているのかもしれません
この一団は4分くらいで飛び去りました
・・・・・・・・・・

D約30分後、また東の空に現れました
この一団は全部で15羽以上います
このとき東側の空は壁のような雲で塞がれていましたが、鷹たちどこを抜けて来たのか不思議です

サシバ

サシバ

サシバ

写っているのはほぼ同じような大きさです
みなサシバでしょうか
・・・・・・・・・・
E13:33、単独で西へ飛んでいきました
・・・・・・・・・・

鷹たちが行った西側方向です
西側にもずっとあった雲の壁は今はなくなっています
写真でははっきり見えませんが左下方向が富士市の街並み、その右側(北側)は富士宮市です

下に降りてくると、ススキの中にノビタキ

前回は穂は出ていたものの花は咲いていなかったススキは2週間たって咲きました

前回も来ていた水飲み場、今回のいました
水が飲めるわけではなく、近くに高い場所がないためにやってくるようです
今秋3回目の鷹の渡り観察で初めてそれを見ることができました
特に、30羽ほどの群れが上昇気流をとらえて弧を描きながら舞う鷹柱を、
その後西に向かって滑翔しながら消えていく渡りの様子を見ることができたのは幸運でした
同行した家内はいたく感激
(10/16追記)
先々週に初めて見た鷹柱に触発されて、サシバとハチクマの渡りについて「鷹の渡り全国ネットワーク」などのサイトを調べてみました。その結果は仮説を含めて次の通りです。
@富士山周辺の渡り状況
・サシバが大部分でハチクマは1〜5%と少ない ⇒ 9/25に富士山南麓でハチクマを観察できたのは幸運でした。
・関東各地から東京西部にやってきたサシバは一部は富士山北側経由南アルプス東側に沿って南下し静岡へ、一部は千葉−神奈川などからやってきたものと合流して富士山南側を経由して静岡へ渡って行くようです。
A全国的な渡りルートはどのようになっているか
・ハチクマは北海道でも繁殖するが、サシバは北限が岩手・秋田まで(青森、北海道までは行かない)。
・ハチクマのルート
(HR1)東日本から長野県にやってきたハチクマは岐阜、滋賀、京都、大阪を経由して、岡山、広島、下関、福岡を経由して福江島へ。
(HR2)HR1の少数は大阪付近から四国香川へ、愛媛佐田岬から大分へ渡り、九州北部を横断して福江島へ。
(HR3)他のルートとして少数が関東から静岡-愛知-三重-和歌山を経由して香川へ渡り、HR2に合流、福江島から東シナ海を渡って中国大陸へ。
・サシバのルート
(SR1)東日本から長野県にやってきたサシバはHR1と同じルートをたどるが、大阪付近から四国香川に渡り、高知-愛媛由良半島などを経由して宮崎へ、さらに屋久島などを経由して南へ渡って行く。
(SR2)主に関東南西部にやってきたサシバは富士山北側と南側を通って静岡へ、さらに伊良湖岬を経由して三重-奈良-和歌山から徳島に渡って高知に向かいSR1と合流する。
これらのルートは上記サイトの2017年秋の観察数から推定したものです。観察された方々に感謝します。 |
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